フェムテックという言葉をご存じでしょうか?
フェムテックとは、Female Technologyの略。女性のライフステージ(月経、出産、更年期など)に生じる様々な課題を解決するツールやサービスを意味し、ここ数年で急速な市場拡大を遂げています。ジェンダーレス、男女平等という概念が定着して久しいですが、一方で、男女による体の作りの違い、ライフステージの違いに配慮したサービスを求める声は年々高まってきています。
例えば、中高年世代の多くが悩んでいる尿もれや便もれなどの泌尿器トラブル。ここにも男女による明確な原因の違いがあります。腹圧やくしゃみで起こる女性の尿もれの主な原因は、出産や女性ホルモンの影響で骨盤底筋がゆるんでしまったことによるもの。したがって、ENCOMPASSなどを用いて適切な骨盤底筋トレーニングを行うことで改善が期待できます。
男性の尿もれの原因の多くは、前立腺肥大や過活動膀胱によるものです。これらは運動よりも、手術や薬物療法など医学的アプローチの方が効果を期待できます。
一方、男性に多い便もれの原因は骨盤底筋の一部である外肛門括約筋の、加齢や運動不足によるゆるみに加え、「連動性」の衰えであるケースが多いのが特徴です。連動性とは、例えばジャンプして着地すると、通常は無意識に筋肉が連動し肛門がキュッと締まるところ、その連動が上手くいかないというような状態を意味します。つまり男性の場合は骨盤底筋のトレーニングに加え、連動性のトレーニングも重要となるのです。
出産経験のある女性の約8割が、尿もれなど骨盤底筋のゆるみに起因するトラブルを抱えていると言われています。にも関わらず、とくに男性の運動指導者がその事実をクライアントから直接耳にすることはほとんどありません。男女を問わず話題に出しにくい問題だからこそ、運動指導者はきちんとその事実を念頭に置き、指導やサービスを提供していくことが大切です。実際に弊社が運営するCLUB100においても、女性医療のドクターや骨盤底筋トレーニングの専門家を招き研修を実施したり、女性医療機関と提携し、ドクターと連携しながら安全に運動指導を進めていくといった取り組みを始めています。そして、ENCOMPASSによる骨盤底筋トレーニングが、それらトラブルの改善に目覚ましい効果を発揮しています。
スポーツ・フィットネス業界においては、今まで男性目線でのサービス展開、指導が主体であったことは否めません。今後は、ジェンダーの違いに配慮したサービス提供・指導が必須となってくることでしょう。真のジェンダー平等とは、すべてを画一化するのではなく、それぞれの違いやニーズをしっかりと理解し、より適切なサービスを提供していくことであると私は考えています。フィットネスにおいても「フェムテック」が今後一つのキーワードとなってくることは間違いありません。